2017年年頭あいさつ

あけましておめでとうございます。

平素は上越妙高駅西口フルサットのご利用、また株式会社北信越地域資源研究所へのご指導、ご鞭撻、またご協力をたまわり、誠にありがとうございます。

2年間の構想期間を経て2016年6月にオープンした上越妙高駅西口「フルサット」は、昨年末でオープンから半年を経過し、おかげさまで2017年という新たな年を迎えることができました。

オープンから現在までの状況ですが、正直申し上げて細部にわたり、すべてが計画通りであったということはできません。しかし、当初構想していたフルサットのビジネスモデルと、これまでの実績を振り返ったとき、ビジネスを創りあげてきた方々をはじめ、多くの方々に可能性を感じていただけるのではないかと、僭越ながら確信はますます大きなものとなっています。

2017年はフルサット飛躍の年としていきたいことはもちろんですが、その一方で、資金的にはもちろん、人、モノ、機会について引き続き「投資」の年であると認識しています。3月の北陸新幹線開業2周年、観桜会、そして6月のフルサットオープン1周年となるころには、フルサットに対する「評価」を考える方々も増えることを予想していますが、弊社はこの半年間でさまざまな検証やフルサット運営に関する試行を繰り返してきており、今しばらく、あらゆることに「投資」をすることをやめず、挑戦していくことが重要な年になると考えています。

フルサット、ならびに弊社に関心をお持ちいただくすべての方々、とくにテナントとしての入居、ビジネスへの参画、投資を検討いただく方々など、さまざまな立場でフルサットに関わっていただけるみなさまにおきましては、今年も一層弊社ならびに、フルサットに注目いただき、弊社の取り組み、挑戦にご注目いただきたくお願い申しあげます。

本年も北信越地域資源研究所、ならびにフルサットをよろしくお願いいたします。

北信越地域資源研究所 代表 平原 匡

2017年1月1日
北信越地域資源研究所 代表 平原 匡

2016年のフルサットの振り返りと、今後の取り組みについての展望

フルサットオープンから、2016年の年末時点でのフルサット、ならびに北信越地域資源研究所の取り組みや成果を振り返りながら、2017年の取り組みや事業展望について記したいと思います。

1. 施設をとりまく状況

フルサットは2016年6月に40フィートコンテナ8本、20フィートコンテナ4本の合計12個のコンテナで構成される8棟の商業施設群として上越妙高駅西口前にオープンしました。日本各地にある「屋台村」「コンテナ横丁」に着想を得て構想された商業施設群ですが、一方で「飲食店街・商店街」の新しいスタイルをねらってオープンさせたことがフルサットというビジネスのすべてではありません。

フルサット

弊社が行うフルサット事業は、地域の魅力、すなわち、当地にしかない「人」・「モノ」・「情報」・「体験」といった4つの「地域資源」を、新しい発想による町づくりによって展開、発展させようとしています。例えば、特に地方都市においてまず広い場所を確保し、大きな建築物を構想して始める従来の大規模商業施設による駅前開発の手法は、昨今の人口減少問題を考慮すると、今後のあり方ではないと弊社では考えます。つまり、「地域のニーズや商圏の発展」に応じた、より柔軟な駅前商店街を考えるにいたるわけですが、それをコンパクトで段階的に増幅可能な「コンテナ」によって実現させたのがフルサットです。

このように、フルサットという上越妙高駅西口にオープンした施設を弊社では、当地の「地域資源」について、知り、味わい、人と交流することのできる「ショールーム」、あるいは「メディア」として展開したいと考えています。

また「ショールーム」ということについては、「コンテナを活用した町づくり」のモデルケース(パッケージ)としての意味ももっています。つまり「上越妙高駅前西口のフルサット」は「フルサット」というビジネスモデルについての実施第一弾という位置付けです。

現状の上越妙高駅周辺とフルサットは、地域の皆さまやビジネス関係者にこの土地がもつ可能性や魅力を訴求できていません。弊社の取り組みに多々いたらない点があることを認識しつつも、一方で、駅前開発全体を見たときに、地域の展望が定まらず、その価値を不安定と評価する方々が多いのも事実です。

しかし、フルサットをご利用いただくお客さまを見るとき、北陸新幹線開業前には想像すらできなかった人の流れが上越妙高駅を中心とした当地に生まれており、上越妙高駅前に施設を置くフルサットはその発展の可能性を日々感じています。

弊社は、当初から、北陸新幹線の開業による上越妙高駅前の人の流れの変化に注目し、まさに「上越妙高駅利用者」の来訪を主眼とした取り組みをこれまで行ってまいりました。

2016年9月に実施した「一箱古本市」

2016年9月に実施した「一箱古本市」

交通のハブ機能をすでに上越妙高駅が担うようになっている状況で、各方面からの乗り換え地としての利用や、ビジネス・観光の集合場所としての利用者が見られるようになってきています。新潟と金沢を定期的に出張される常連の方や、上越妙高駅を集合地にして、東西から集まった団体様が、フルサットの雁木下で慰労会をしてお帰りになられたこと、謙信公祭やSAKEまつりなどで県外からお見えの方が、上越妙高駅に到着後、あるいは出発前にご利用いただくケースも既に多く見られています。
このように大きな可能性を持ちつつある上越妙高駅前とフルサットですが、弊社としては現時点ではそうした可能性を感じながら、「人」・「モノ」・「情報」・「体験」といった4つの「地域資源」を見出し、上越妙高駅利用者、ならびに、地域外、県外の当地来訪者に対するアピールやアプローチにますます力を入れていきたいと考えています。

2. 新聞・雑誌ほかメディア掲載状況

2016年7月-9月実施のサントリー×フルサット「風香る雁木ビアガーデン」

2016年7月-9月実施のサントリー×フルサット「風香る雁木ビアガーデン」は企業コラボ企画としてその後のフルサットのイベント運営に大き経験となりました。

新聞各紙、また経済誌、グルメ誌、地域情報誌、フリーペーパーへの掲載、また、NHK全国放送、民放、BSなどでの放送など、多くのメディアに関心をお寄せいただきいただきました。

とくにNHKの「おはよう日本」でのフルサットについての放映は夏の行楽・帰省シーズンで当地を訪れたお客さまの大きな来訪の動機になったようです。

また誌面では、東洋経済オンラインで連載特集されている「鉄道最前線 新幹線は街をどう変えるのか」上で取りあげられた際は、普段ネットや経済誌に触れない方々からも問い合わせや言及をいただくなど、大変な反響がありました。

「コンテナ店舗で挑む上越妙高駅前改革の勝算
北陸新幹線開業2年目、人口減へ新たな解?」
(東洋経済オンライン 2016年8月25日掲載)
http://toyokeizai.net/articles/-/132823

さて、フルサットについて「広告や看板がないので場所がわかりにくい」と特に地元の方に多くのお叱りをいただくことがありますが、現時点のフルサットのPR施策として広告や看板の掲出、チラシなどの配布を行う方針をとっていません。実は、地域資源を魅せる「ショールーム」としての本質的価値(多くの方々が「よい」と思ってもらえるもの・ことを増やす取り組み)を高め、それを継続的に展開、周知させる取り組みを重視することで、その価値に気付いていただいた方にご利用いただきたいという思いがあります。

2016年10月 越後・謙信SAKEまつり開催時に関連企画を開催。Webのプレスリリース媒体を使用し、全国への発信を試み、多くのメディアに転載された。

2016年10月 越後・謙信SAKEまつり開催時に関連企画を開催。Webのプレスリリース媒体を使用し、全国への発信を試み、多くのメディアに転載された。
画像出典
@PRESS(https://www.atpress.ne.jp/news/113336)

デザイン性の高い白を基調としたコンテナのシンプルさは、所せましと店舗や広告が並ぶ風景に見慣れた都市部から来訪のお客さまに、余計な看板がない、スッキリしていてとても居心地のよい空間であるとの評価をしばしばいただきます。弊社はこのようなコンテナのデザイン性や、広告などに依存せず、施設や店舗の魅力や本質を求める取り組みが、わずかな期間であってもこれだけ多くのメディアに取りあげていただけている理由なのではないかと思っています。

また、メディアへの露出ももちろんですが、フルサットオープン以降、官公庁・自治体、商工会などの視察の依頼も増えています。

国土交通省主管の地域プロジェクトのメンバーの来訪、それ以外でも県内中越地域、佐渡地域、隣県である長野県の市町村いった地域の自治体や商工会、またコンテナ建築に注目した建築系の専門家組織の来訪などの視察受け入れ実績も9月以降続いており、地域開発や施設運営のノウハウについて模索している中で当施設に関心をお寄せいただいている様子がうかがえます。

3. 地域資源のコンサルタントとして(北信越地域資源研究所として)

2016年秋以降、フルサットも使用する建築基準法に対応するコンテナ建築のノウハウ展開として、コンテナユニットの代理販売事業や、コンテナを利用したビジネスに関する企画提案などのコンサルティング事業を開始しており、新たな都市開発の一手段として当地でコンテナの魅力を普及する取り組みにも参画し始めています。

これに加えて、同年12月からは、北信越地域資源研究所のコンサルティング事業の一環として、東京に本社を置く大手企業や地方自治体と連携した新たな地域資源開発事業もスタートし、幹事事業体として事業運営の中核を担う位置にもつきました。

フルサットという「ショールーム」を地域資源展開の一手段としてパッケージ化し、利益化を図っていますが、地域資源の開発としてのこの事業は、弊社の行う一側面にすぎないこともまた事実です。

2016年12月 上越妙高駅側隣地を舗装しました(画像奥)

2016年12月 上越妙高駅側隣地を舗装しました(画像奥)

フルサット事業は弊社の事業としてもっとも皆さまに親しんでいただくことができ、同時に弊社の思想を感じていただけるおけるアイコン的なビジネスといえるでしょう。しかし、弊社のビジネスは、フルサットを中心とした駅前開発にとどまらず、地域全体の未来や発展をイメージし、実現させようとするものでありたいと考えています。そして、すでに弊社が関係する多様なビジネスが動き出していることからも、今後はさらに多くの知恵と実行力を必要とする組織となる必要があると考えています。

4. ビジネスモデルの理解促進とコアメンバーの獲得・育成

フルサットのビジネスは既存の街づくりや、そもそも従来の地域ビジネスの範疇からはずれる部分が多く、また、これまでの実績のない、未検証な部分について仮説や、まさに経営しながらその質を高めていくモデルである以上、当初構想した計画を着実に遂行することでビジネスを完成させるようなこれまでの概念でフルサットや弊社の取り組みをとらえる方々からは「前例がない」とお叱りをいただくことがあります。穏やかで保守的な人が多い当地で、弊社ビジネスについて理解を得るにはしばらくの時間がかかることを覚悟しなければならないと思っています。

一方で、当地の多くの方々の理解を待ち続けるわけにはいきません。このビジネスモデルを理解し、ビジネスを推進できるメンバーを増やす必要があると考えています。そのために現在弊社が重視することの一つに、「コアメンバーの獲得・育成」があり、施設としてはフルサットのビジネスモデルに賛同する、強力な新メンバー(テナントや協力事業者、ビジネスパートナー、投資家の皆さまなど)の方々といえます。

2015年夏 すべてはこの1台のコンテナからフルサットは始まりました。

2015年夏 すべてはこの1台のコンテナからフルサットは始まりました。

弊社の運営体制としてはフルサットのオープン以降、実務をともにする何名かのパートナーを迎え、ビジネスを推進させる体制を構築しつつありますが、依然充足しているとはいえません。さまざまな経営コストが発生する中で、十分な人的資源を確保する力が十分にない状況にありますが、そうはいっても今しばらく弊社や、フルサットという施設が「投資段階である」と考える中で、人に充てるコストを考えることは、優先的に取り組まなければならない課題と認識しています。

ここで、弊社が考えるビジネスパートナーやコアメンバーのイメージを申し上げるならば、弊社のビジネスモデルや、ビジネスを代表である私以外が語り、それぞれの人材の魅力で新たな地域資源を開拓し、発展させる取り組みができる人をいいます。そしてそうした人それぞれの個性や強みを集めた「チーム」をつくりあげていきたいと考えています。

組織体制については、現在の組織については代表である私が唯一の取締役として経営していますが、2017年4月からの次期は取締役ほか、弊社経営体制について増強するような具体的イメージも構想しつつあり、事業の各々にさまざま課題はありつつも、これらの解決とさらなるチャレンジにむけて、組織面でも強化していく旨、実績ある経営者の諸先輩方、また支援いただいている法律や会計などの専門家の意見を参考にしながら検討しています。

おわりに

上越妙高駅が新潟県上越地方の基幹的な位置付けとなり、長野・東京方面、また富山・金沢・関西方面へのハブ機能をもつ場所になることはいうまでもありません。

上越妙高駅は北陸新幹線の駅としてはJR西日本と同東日本の境界駅です。新潟市へは特急しらゆきで2時間、長野市へは新幹線で20分、富山市へも新幹線で40分と、隣県の県都への交通に大変恵まれた立地にあります。

駅、特に地域を結ぶ大動脈としての新幹線駅はまさに地域の「ショールーム」であり、訪れる人の交流点でもあります。そのような場所にあり、生きる我々は訪れる人に楽しみを与えることを通して私たち自身がよりよく生きるチャンスを得ているといっても過言ではありません。

最後に、フルサットの半年を振りかえるとともに、今後の展望や課題を記してまいりましたが、今後の大きな課題とし、また弊社の今後の飛躍に向けて、決意を申し上げたいと思います。

それは、これらの構想を実現させるために、弊社のビジネス、フルサットという施設ほか、すべての事業について今しばらく施設、組織を固めつつ、発展させていくことに注力しつづける必要を感じていることです。
2016年6月にオープンしたフルサットという施設は1年目こそ、なにかと地域の話題にしていただき、またメディアの好意的な報道のおかげに支えられてきたことについて、感謝の言葉もありませんが、一方でオープン1年経過後は、フルサットという事業についての評価・検証をされる方々も増えていくと予想しています。

  しかし、地域資源の開発や、人びとの流れを変える、意識や気持ちを変えていくことは1年というわずかな期間では非常に難しいことと考えます。

また、この間弊社としては、フルサット事業はもちろんのこと、北信越地域資源研究所としての各種コンサルティング事業において、「地域資源の開発」というキーワードを基幹に、大小の事業を織り交ぜながら「常にアップデート」が為されるフルサットであり、また北信越地域資源研究所という企業であり続けていく必要があると考えています。こうした、いわば「投資フェーズ」が終了した段階で、それらが収斂されたとき、フルサット事業をはじめ、各種の事業がより強い相乗効果を生み出されると考えています。

非常に荒削りな部分もあるビジネスではありますが、これまでの多くの先人が試みてきた事業について、現代のあり方で地域資源の開発を試みる弊社に、どうぞ今後も関心をお寄せいただき、ご支援、ご参画等検討いただければ幸いです。